いやー急に涼しくなり、朝晩は寒くも感じるようになりました。寒くなってくると同時に、風邪症状で受診されるかたが増えています。風邪の症状で厄介なのは咳。咳でしんどくなることもありますが、周りの目が気になるのでなんとかしたい、あるいは、周りに言われて受診というように、クリニックの受診理由で、咳はとても多いです。
医療者の間では常識!?なのかもしれませんが、咳止めの薬で、これが効く!というのは実はあまりありません。仕方ないから使おうか、という程度のものがほとんどです。効果には個人差があるんだろうと思いますが。
そんな中でも効果が確認されているのが、はちみつです。決して新しい情報でもなく、2007年に研究報告が出されています。はちみつは古来から薬として活用されていたようで、どうやら抗酸化作用や殺菌作用があるようで、それらが鎮咳効果の理由と考えられているようですが、詳細はわかっていないようです。
研究論文は小児を対象にしたものが多くあり、寝る前にはちみつを服用することで、咳の頻度や睡眠の質が、無治療やプラセボよりも改善したことが確認されています。しかも、何かと有害事象が多い他の咳止め薬よりも子どもに安全であることも確認されており、親御さんにはぜひ試して欲しい方法だと言えます。
使用する量や方法は、研究によりばらつきがありますが、概ね2.5から10mlのはちみつを寝る前に1回、お湯や紅茶などに溶かして服用するというものになります。もちろん、はちみつによるボツリヌス中毒の危険から1歳未満にはこの方法は使用できませんので、ご注意ください。
年齢 | はちみつの用量目安 |
2-5歳 | 0.5 teaspoon |
6-11歳 | 1 teaspoon |
12歳以上 | 2 teaspoon |
Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents. Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine 2007;161(12):1140‐6.
風邪の咳に悩まされる季節、はちみつは欠かせないものになりそうですね。
参考文献
1. Can Fam Physician. 2014 Dec; 60(12): 1107–1110.
2 Fam Pract. 2013 Mar; 62(3): 145–147
3 Cochrane Database Syst Rev. 2018; 2018(4): CD007094.