食事から考える健康

年末年始はご家族やご友人と楽しいひと時を過ごされる予定の方も多いと思います。別に一人でも、やはり楽しい時間には欠かせない食事、少し食べ過ぎたりして、新年こそは健康に気をつけなくては!と考えられる方も少なくないと思います。そこで、今回は健康的な食事ということに関する研究結果を皆さんと共有したいと思います。

 外来でもよく、やせたいという方がおられます。世間でも糖質制限という言葉が話題になり、糖質に対して恐怖を抱いている人もいるかと思われますが、栄養素的にいえば、糖質は必ず必要なものであり、そこから逃げることはできません。逃げるよりも、良質な糖質をどうやって摂取するかを考えるほうがいいと思わされるのが、この研究結果です。

 まず、死亡率や減量や血圧改善などと関連があった、健康食品の指標としては①食物繊維がどれぐらいあるか?と②全粒粉であること が確認されました。これまで食後血糖値との関連で取り上げられていたグリセミック指数(GI)や、食物繊維の性質である可溶性などは、良質な研究に乏しく、ほとんどこういったアウトカムと関連がなかったことが確認されており、健康食を考える場合は食物繊維と全粒粉の2点に絞ったほうがよいと思われます。

 さて、食物繊維ですが、最低でも1日25-29gの摂取が、減量やすべての原因の死亡率(がん、心臓血管疾患、脳血管障害含む)や乳がん、大腸がんや食道がんの発生率の低下と関連があったと判明しており、多くとればとるほどその効果は大きくなると考えられております。大豆100gに食物繊維は約17.9g、お米の場合は0.5g、最近はやりのライ麦粉やオートミールではそれぞれ12.9gと9.4gが目安となるそうです。1日30gの食物繊維の摂取を心がける、それが糖質由来でもオートミールのように繊維質が多ければ問題ないと考えるほうが妥当であるでしょう。健康的な生活は食事からであり、見直すきっかけになれば幸いです。なお、今回の結果はあくまで成人を対象にしたもので、子どもは含まれておりませんので子どもには適応しないでください。

ちなみに写真は私がハワイ留学時代に出会って、今でも朝食に食べているアサイボウルです。グラノーラとフルーツで繊維も豊富ではないかと思っております。

参考文献
Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses:Lancet 2019: 393: 434-45

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